2024’完全図解！イワタニ製カセットコンロ全12機種の比較と選び方

今回は、家庭での鍋料理やアウトドアにも重宝する、「カセットコンロ」のベストバイを検証してまいります。

カセットコンロのトップメーカーと言えばイワタニ製品ですが、意外にラインナップが多く、製品により機能や付属品もバラバラなため、「何がどう違うのかサッパリ分からない！」という声を多く耳にします。この記事を読んでいただければ、必ず、ベストな一本が見つかるはずですよ。

なお、調理家電については他にも書いていますので、あわせてお読みいただければ幸いです。

本記事の推定読了時間は8分です。「そんな長ったらしいレビューは読みたくねえっ」という方は、目次から《結論》に飛んでいただければ結構です（滝汗

【基本編】1分でしっかり分かる！カセットコンロの選び方

さて、何事も基本が肝心です。イワタニのカセットコンロを選ぶポイントとして、まずは「製品ラインナップの特徴」、「燃焼性能」、「安全性能」、「耐風性能」の4点を押さえておきましょう。

製品ラインナップをざっくり図解

まずは、イワタニ製品のラインナップを、「価格✕機能性」のマトリクス図でざっくり理解されたし。ちなみに、機能も価格もお手軽な「達人スリムⅢ」が看板商品となっております。

基本的には、価格と機能性は比例しますが、1つだけ「高機能なのにリーズナブル」な機種があることに気づいたなら鋭い。こちらが今回のベストバイ、「エコプレミアム」となります。詳しくは後述。

イワタニ カセットフー エコプレミアム CB-EPR-1

岩谷産業

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違いが分かる！スペック一覧表

まずは、今回比較する12製品のスペック一覧表から。なお、製品数が多いので、室内用と屋外用に分けています。屋外用は防災用品としても重宝します。

室内用｜家庭・飲食店向け（８製品）

室内用の8製品は、家庭での使用や飲食店向けに最適です。ベストバイに推薦した「エコプレミアム」を中心に、スペックの違いを見比べてください。

スペック的にはステンレス外装など見た目も豪華な「アモルフォプレミアム」が最強ですが、価格は主力製品の「達人プレミアムⅢ」や「エコプレミアム」の7倍程度と高額です。表内の専門用語は下記をご覧ください。

屋外用｜防災・アウトドア（４製品）

屋外用の4製品は、防災用やアウトドアでの使用に最適です。それぞれ製品外観はかなり違いますが、性能面での違いは耐風性能だけです。防災用の備蓄品なら「風まる」、アウトドアでは耐風性能の高い「タフまる」がおすすめ。

屋外用の製品には、バーナーの周りに風よけ（風防）が二重で付いています。「多孔式（たこうしき）」については、すぐ下で後述します。

イワタニ カセットフー 風まるII CB-KZ-2

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バーナー形状による燃焼性能・耐風性能の違い

バーナーの形状（炎口形状）には、安価な「外炎式」、加熱効率の良い「内炎式」、耐風性の高い「多孔式」があります。

「多孔式」バーナーでは、282個（マーベラスの場合）の炎口から短い炎を出すことで、耐風性能を高めています。アウトドアや防災目的など屋外で使用には多孔式バーナーが最適です。

安全性能（全機種共通・機種独自機能）の違い

安全性能に関する違いは、ガス停止装置（立ち消え安全装置）の有無です。こちら、煮こぼれで火が消えてしまったとき、ガスを自動で停止する機能となります。

ガス停止装置は、最高級機の「アモルフォプレミアム」、飲食店向きの「雅プラス」、高火力の「ボープラス」にしか搭載されていません。基本的に、カセットコンロ使用時には、火元から目を離さないように注意しましょう。

その他、全機種共通で、「圧力感知安全装置」、「容器装着安全装置」、「容器受口加圧式機構」などの安全装置が搭載されています。詳細は公式をご覧ください。

【結論】高機能なのにコスパ優秀な「エコプレミアム」が正解

「長ったらしいレビューは読みたくねえっ！」という方もいらっしゃると思うので、先にベストバイを書いてしまいます。ここだけでも読んでください（滝汗

ベストバイ エコプレミアム 高性能なのに低価格！圧倒的イチオシ

知名度では看板商品の「達人スリム」にかないませんが、高機能とコスパを両立している「エコプレミアム」をベストバイに推します。

本製品の特長をひと言にまとめると、「火力はそのままに低燃費」ということ。

本製品では燃料効率の高い「内炎式」バーナーを搭載し、2.9kWで3.5kW相当の火力を発揮します（達人スリムⅢは3.3kW）。つまり、看板商品の「達人スリム」より低燃費で高火力なのが本製品の魅力です。

また、イワタニ製品では最大となる10号土鍋に対応しており、5～6人で鍋料理を囲むのにも最適な製品となります。10号土鍋に対応しているのはエコプレミアムだけなので、まさに唯一無二の特徴と言えましょう。

高機能でありながら「達人スリム」との価格差は1千円以内なので、文句無しにベストバイと言ってよいでしょう。

セカンドバイ 風まるⅡ アウトドアはもちろん防災用品にも最適

「エコプレミアム」とは全く毛色が異なりますが、耐風性能に優れた「風まるⅡ」をセカンドバイとしてお勧めします。

「風まるⅡ」は屋外での使用を目的としたモデルです。レジャーだけでなく防災備蓄用品としても注目されています。

「風まるⅡ」の最大の特徴は、バーナーを取り巻く巨大な風防（風除け）です。80センチの距離から扇風機（強風）を回しても8分で沸騰させる耐風性能があります。

実勢価格（5,500円前後）はベストバイの「エコプレミアム」より2千円ほど高価ですが、専用ケース（2千円相当）が付属するため、コスパ面でも非常に優秀と言えます。

【競合製品】ベストバイ製品以外の特徴と評価

ベストバイの「エコプレミアム」を買っておけば間違いありませんが、その他の製品ラインナップについても分析します。

評価Ａ 達人スリムⅢ 低価格でも基本性能はしっかり！イワタニの看板製品

イワタニ製品の主力製品がこちら、「達人スリムⅢ」となります。他製品に比べて機能的な優位点はありませんが、価格面では最もお手頃です。どこの売り場にも置いてあるので、知らずに買っている人も多そう。なお、カタログ型番はCB-SS-50ですので購入時にご確認を。

「達人スリムⅢ」の最大の特徴は、製品名どおりの超薄型ボディですね。五徳までの高さが74mmと従来品より約30%も薄型化されています。これにより、単に見栄えが良いだけでなく、鍋物をするときに高くなりすぎず使いやすいという利点もあります。

また、バーナーは安価な「外炎式」ですが、従来品より省エネ・高効率なタテ型バーナーを採用しており、スタンダード機種ながら完成度の高さは感じさせますね。

我が家でも旧モデルの「達人スリムⅡ」を使用していますが、普段使いで何の不満も無いところにイワタニ製品のクオリティを改めて感じますね。

「達人スリム」ユーザーなら、新発売の専用ケースがおすすめです。紙箱から取り出す手間も省け、縦置き可能で収納性が格段にアップします。もちろん筆者も即買いしました。

イワタニ カセットフー 達人スリム専用ケース CB-TSL-CASE

イワタニ(Iwatani)

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評価Ｂ ボープラス 大鍋での煮炊きや短時間料理に強い大火力タイプ

なんといっても「ボープラス」の特徴は高火力。しかも、高火力なだけでなく、安全性や収納力・携帯性も高く、絶妙にバランスの良い製品に仕上がっています。

こちら、レビュー前はまったく注目していませんでしたが、意外に（失礼！）バランス感が秀逸なので評価を見直しました。

「達人スリム」や「エコプレミアム」の2倍という価格設定は気になりますが、価格のうち2千円はケース代と考えれば納得感が高まります。やはり縦置きは便利ですからね。

評価Ｃ 雅プラス 安全装置が充実！飲食店向けのスタイリッシュモデル

お高めの和食店にもハマりそうなのが「雅（みやび）」です。機能的には、スタンダードモデル「達人スリム」に立ち消え安全装置を加えたものと考えてOK。

やはり違いは外観なので、そこが価格に見合うと思うなら買いであり、思わないならスルーされたし。ちなみに、「とにかく高級感が必要！」ということであれば、後述する「アルフォプレミアム」のほうが機能も高くおすすめです。

評価Ｃ かぐら スタッキング収納可能！飲食店や宿泊施設に最適

純和風デザインだけに目を奪われがちですが、スタッキング（積み重ね）収納が可能なので、飲食店や旅館などの宿泊施設には最適です。

その他の機能面ではスタンダードモデルの「達人スリム」と同じなので、割高な価格設定から家庭用途ではスルーされたし。

評価Ｂ アルフォプレミアム 機能全部入りの最高級モデル

イワタニ製品で最高価格のカセットコンロが「アルフォプレミアム」です。全機能を搭載するフラッグシップモデルで、コスパを除けば欠点が見当たりません。高価なりの魅力もあるので、金に糸目をつけないなら止めません。

各機能の搭載機種を下の表にまとめましたが、多機能性では群を抜く製品となります。天板素材のステンレスは、永く使うほど価値を実感できます。他製品の天板はコーティングのため、塗装剥げや焦げ付きで必ず劣化するからです。

高機能なのは認めるものの、「達人スリム」8台分の価格設定がネック。個人的な感想を言ってしまうと、高級感といっても所詮はカセットコンロ。ここにお金を使うなら、キッチンのメインコンロをワンランク上のものに買い替えたほうが幸せになれるかと。

評価Ｂ プチスリムⅡ 料理だけでなくクラフトにも便利な小型サイズ

イワタニ製品で最詳細軽量なのが「プチスリム」です。看板商品の「達人スリム」を、機能はそのまま小型にした製品となります。

鍋底20センチまでが上限となっており、調理目的では万能とは言えません。むしろ、ハンドクラフトなどで火が必要な場面に最適ではないかと思われます。

評価Ｂ タフまる・タフまるJr. 耐風性と耐荷重にすぐれたアウトドアモデル

ミリタリーデザインが特徴的な、アウトドアモデルの「タフまる」です。

セカンドバイに推薦した「風まる」より耐風性能が高くコスパも優秀ですが、こちらは脚部がアルミダイキャスト製なので基本的には屋外専用です。アウトドア好きなら室内で使うのも良さげですが、木製家具を傷つけないようにご注意ください。

「タフまる」の機能面での特徴は、風に強い「多孔式バーナー」。W風防と合わせて、イワタニ製品では最強の耐風性能を誇ります。横風の厳しい場面では、前出の「風まる」よりオススメです。

火力では炭火にかないませんが、ソロキャンプなどお手軽に済ませたい場面には最適かと。