今回は、インク(油性・水性・ゲル)の違いに着目して、「定番ボールペン」のオススメを検証します。
「ボールペンはインク選びが9割」と言えるくらいインクが重要なので、インクの特徴を押さえておくとボールペン選びに重宝します。
なお、文具・オフィス用品については他にも書いていますので、あわせてお読みいただければ幸いです。
文具・オフィス用品に関する記事
【最新】ボールペンインクの違いと選び方
個別製品を比較する前に、まずはボールペンインクの特徴から説明します。
ボールペンインクの特徴は、いくつかの一般論と個別製品の特徴を押さえるのがポイントです。
インクの種類と特徴
ボールペンインクは、基本的に「油性・水性・ゲル」の3種類です。なお、ゼブラの「エマルジョン」インクは油性と水性の混合で、書き味以外は油性寄りとなります。
インク種類 油性 水性 ゲル 色素 染料・顔料 溶剤 アルコール系溶剤 水 粘度 高 低 筆記時:低
固着時:中書き味 重い 軽い 耐水性 中~高 染料:低
顔料:中にじみ なし あり なし 速乾性 速 遅 速 ポイント やっぱり主流。正式書類や複写用紙など油性が必要な場面も多い。 にじみと耐久性に難あり。 油性と水性の中間。普段使いならゲルが最適。 油性と水性の特徴については、ほぼイメージどおりだと思います。ゲルインクは、力がかかると粘度が下がるという特徴があり、水性に近い書き味と、油性のような扱いやすさを兼ね備えています。
注意ポイント
インクによって最も差が出るのが耐水性で、油性でも耐水性の低いインクがあるので注意してください。ここは重要なので、詳しい説明を後述します。
染料・顔料の違い
染料はインクの溶剤(油性ならアルコール系溶剤、水性なら水)に混ざり、顔料は混ざりません。このため、色混ぜが可能な染料系は発色が良く、インクそのものが紙に乗る顔料系は耐久性が高いという特徴があります。
染料 顔料 耐水性 低 高 耐光性 低 高 発色 高 低 ただし、最近ではゼブラの「サラサ」のように、顔料系でもカラバリ豊富(記事執筆時点で57色)な製品もあります。「顔料系は~」という一般論も大切ですが、製品ごとの違いも大きいのでご注意ください。
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下の表は、いくつかの具体的な製品名をインク種類別に分類したものです。また、参考として耐水性に関するデータも入れています。
溶剤 色素 メーカー 製品名 耐水性 油性 染料 ゼブラ ジムノック 高 ゼブラ タプリクリップ 高 パイロット アクロボール 中 顔料 ぺんてる ローリー 高 染料+顔料 三菱鉛筆 ジェットストリーム 中(+) ぺんてる ビクーニャ 中 水性 染料 パイロット Vコーン 高 ぺんてる ボールPentel 中 顔料 パイロット マルチボール 高 ゲル 染料 ぺんてる エナージェル 低 顔料 ゼブラ サラサクリップ 高 三菱鉛筆 ユニボールシグノ 高 ぺんてる Hybrid 高 サクラ ボールサイン 高 油性+水性 染料+顔料 ゼブラ スラリ 高 ひと目で分かるとおり、耐水性に関してはゼブラが強いですね。正式書類には「ジムノック」が無難ですが、ゲルやエマルジョン(油性+水性)も高い耐水性を持ちます。ぺんてるの「ローリー」も根強い人気ですが、廃盤となってリフィルのみ販売という状況です。
正式書類に最適
ゼブラ 油性ボールペン ジムノック0.7 P-KRB-100-BK 黒 – ゼブラ(ZEBRA)Amazon’s data(2021.04.26現在)レビュー数 66件・参考価格 73円
以上が、ボールペンインクの基本的な特徴と違いです。なお、染料系油性ボールペンは耐光性が極めて弱いという実験データもありますので、掲示物の作成などには注意が必要です。
インクで選ぶ、定番ボールペンのおすすめは?
ここからは、定番ボールペンの推奨製品を絞り込みます。全てに万能の製品は存在しないので、3つの用途に区分した上で、それぞれのオススメ製品をご紹介します。
3つの用途とオススメ製品
- 1本は必ず欲しい正式書類向けモデル
- メモや走り書きに便利な書き味重視モデル
- ノート作りに適した学生向けモデル
イチ押し ゼブラ ジムノック 耐水性の高い油性染料インクで正式書類に最適
迷ったらコレ!
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正式書類の記入に最適なのが、ゼブラの「ジムノック」です。油性染料インクは耐水性が高く、郵便物の宛名書きにも最適です。
1本あたりの実勢価格も、油性顔料系やゲルインク製品より安価なので、業務用での使用にも適しています。(価格は記事執筆時点のヨドバシドットコム調べ)
ジムノック | ジェットストリーム | Vコーン | ボールサイン |
油性染料 | 油性染料+顔料 | 水性染料 | ゲル |
81円 | 107円 | 86円 | 198円 |
また、筆記開始時のカスレもほとんど気にならない程度で、書き味が非常になめらかなのも特徴です。日常的なメモや走り書きにも重宝すると思います。
この製品の良いところ
- 正式文書に最適な油性染料インク
- 最強レベルの耐水性
- 筆記時に扱いやすい速乾性
- 油性なのになめらかな書き味
- 業務用にも最適な実勢価格の安さ
ここは改善を希望です
- ペン先にときどきインクのダマができる
- 色数が少ない
イチ押し パイロット Vコーン 書き味と耐水性を両立した「最強の水性」
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日常のメモや走り書きに最適なのが、パイロットの「Vコーン(ブイコーン)」です。半透明のボディから透けて見えるように、中身は書き味の良い水性インク(液体)です。
一般論的に、耐水性が低いはずの水性染料インクですが、Vコーンは筆跡に水を垂らしても滲まず耐えます。うっとりする書き味と耐水性を両立しており、文具マニアからは「Vコーン最強説」も囁かれるほど、愛好者の多い製品です。
難点と言えば、速乾性の低さと用紙の素材によっては不向きなところです。
この製品の良いところ
- 水性インクの優れた書き味
- 水性染料インクなのに高い耐水性
- 透明ボディからインク残量が見える
ここは改善を希望です
- 速乾性が低い
- 水性なので用紙を選ぶ
- 色数が少ない
イチ押し ゼブラ サラサクリップ インク量が多く書き味なめらかで耐水性も高い
ゼブラ ジェルボールペン サラサクリップ 0.5 黒 5本 P-JJ15-BK5 – ゼブラ(ZEBRA) Amazon’s data(2021.04.28現在) レビュー数 1124件・参考価格 347円 |
普段使いのメモや走り書きに便利なのが、ゼブラの「サラサクリップ」です。インク量が多く書き味なめらかなのに、耐水性の高いゲル顔料インクを使用しています。筆者の使用頻度もサラサクリップが一番かと思います。
一般的に、ゲルインク使用のボールペンは実勢価格がやや高めですが、上で紹介したジムノックと比べても安い価格設定も魅力です。
また、57色(記事執筆時点)とカラーバリエーションも豊富で、学生さんのノート作りにも最適でしょう。
難点と言えば速乾性で、筆記時には筆跡に手が触れないようにご注意ください。
この製品の良いところ
- インク量が豊富で書き味がなめらか
- 耐水性の高いゲル顔料インクを使用
- ゲルボールペンなのに安価な価格設定
- 57色とカラバリ豊富
ここは改善を希望です
- 速乾性は低いので、触れないように注意
ボールペンの選び方とおすすめは、以上となります。上でも紹介した「ジムノック」が1本あれば万能ですが、インクの特性に応じて用途を使い分けてみてはいかがでしょうか。