こんにちは、ひかぱんです。
今回は、高機能シャープペンシルのベストバイを検証していきますね。
実は筆者、もともと文具マニアなこともあり、シャーペンは大好物のアイテムです。近頃では筆記具界隈で文具ブームが再燃していますが、「何がどう違うのかサッパリ分からない!」という声を多く耳にします。この記事を読んでいただければ、必ず、ベストな一本に出会えるはずですよ。
なお、文具・オフィス用品については他にも書いていますので、あわせてお読みいただければ幸いです。
文具・オフィス用品に関する記事
【基本編】1分でしっかり分かる!シャープペンシルの選び方
さて、何事も基本が肝心です。高機能シャープペンシルを選ぶポイントとして、「製品ラインナップの特徴」と「使い方別の製品選び」を押さえておきましょう。
図解1 各メーカーの製品ラインナップをざっくり図解
まずは、筆記具メーカー各社の製品ラインナップを、「価格✕機能性」のマトリクス図でざっくり理解されたし。これを見れば、昨今のトレンドが分かるはず。
製品ラインナップの総合力では「ぺんてる」が圧倒的
上図を見て、「ぺんてるが多いなあ」と気づいたなら鋭い。ぺんてるは、シャーペンだけで複数のヒット商品を抱えており、製品ラインナップの総合力では他社を圧倒しています。近年では、1本2,500円の「オレンズ ネロ」が大ヒットとなり、一時はプレミア価格が付くほど入手困難となりました。
ついに0.5mmの開発に成功!
ここがポイント これまで構造上の問題から商品化が見送られてきた0.5mmモデルがついに発売!0.2mmや0.3mmでは普段使いできないと足踏みしていた文具ファンには朗報です。 |
(2021.01.23現在)
それとは逆に、「ドクターグリップ」という過去の成功体験から抜け出せないパイロットや、いまいち製品ラインナップを絞り込めていない三菱鉛筆やゼブラは、ぺんてるほど商品戦略が上手いとは言えません。
図解2 折れづらい、トガる、ノック不要。筆記タイプごとの製品選び
さらに、メーカーごとの新技術の方向性を図解します。ここを見れば、どのタイプの機能が自分に必要かが分かると思います。
筆圧強めならゼブラ「デルガード」
まず、「折れづらい」という方向性で攻めているのが、ゼブラのデルガードです。ボディ内にスプリングを内蔵することで筆圧を吸収する仕組みとなっています。パイロットもドクターグリップの上位モデルに同様の機能を搭載しましたが、スプリングを2つ内蔵したデルガードの方が高機能です。
万人におすすめの三菱鉛筆「クルトガ」
芯先が紙に触れるたびに、芯が回転するのが三菱鉛筆のクルトガです。シャーペンを握り変えること無しに、一定の太さで筆記できるのがクルトガの魅力です。「デルガード」や「オレンズ」は、使用者や使い道によっては機能を活かしきれませんが、「クルトガ」は誰もが利便性を感じられる、万人向けの製品です。
長時間の筆記にはぺんてる「オレンズ」
最後に、シャーペン界の王者とも言うべき、ぺんてるのオレンズです。「オレンズ」という製品名から誤解されがちですが、オレンズの特徴はノック回数を最小限にする芯出し機構です。上位製品の「オレンズネロ」では、1回のノックで芯1本を使い切れるという、完全自動芯出しを実現しました。
図解3 対応する芯の太さ 0.2mm対応はオレンズのみ
さらに、対応する芯の太さも図解で比較します。
各製品ともニーズの高い0.5mm中心のラインナップですが、オレンズのみ0.2mmの極細芯に対応します。オレンズ(ネロ)は芯が折れにくい(芯を出さずに書く)ため細芯は得意ですが、構造的に太芯が苦手です。
【結論】芯の太さをキープできるクルトガが実用性NO.1!
「長ったらしいレビューは読みたくねえっ!」という方もいらっしゃると思うので、先にベストバイを書いてしまいます。ここだけでも読んでください(滝汗
ベストバイ 三菱鉛筆 クルトガ 芯が回転することで太さをキープ
メーカーごとに新技術の方向性は違いますが、万人向けの実用性の高さから三菱鉛筆(UNI)の「クルトガ」をオススメします。
(2021.01.14現在)
本製品の特長をひと言にまとめると、「書き続けても線の太さを一定に保てる」ということ。
クルトガの特徴
- 高機能シャーペンの中でも抜群の実用性!
文字そのものがキレイに書ける機能はクルトガだけ! - 芯回転が2倍の「アドバンス」は英語学習に最適
英字や数字など1画の直線が長い文字の筆記に効果あり
最大の特長は、書き続けても芯先が丸まらない「クルトガエンジン」という芯回転機能。通常、シャーペンで筆記すると、30秒もしないうちに芯先が丸まり、文字が太くなっていきます。シャーペンを握り変えること無しに、一定の太さで筆記できるのがクルトガの魅力です。
誰もが効果を実感できるのがクルトガの魅力
他社の高機能製品(デルガードやオレンズなど)は、使い方によっては機能を活かしきれませんが、クルトガは誰もが利便性を感じられる、万人向けの製品です。特に、「学生の認知率100%」という同社調べのデータもあり、ノートテイクには最適の1本となります。
英語学習には芯回転が2倍の「アドバンス」が最適
さらに、英語学習などアルファベットを多用する人には、芯回転が2倍の「アドバンス」モデルがお勧めです。英字やカナは1画の線が長いため、通常モデルより芯を回転させることで、芯の偏減り(かたべり)を防ぎます。
下の画像を見てもらえると、本当に芯が回転する様子がわかります。
通常モデルのクルトガもポップなデザインで好感しますが、金属ボディの「ローレット」モデルならビジネスにも最適です。ちなみに、筆者が仕事で「これ使いやすいなあ」と5年ほどメインで使用しているのは、クルトガのローレットモデルです。
筆者もメインで愛用!
ちなみに、クルトガは学生に人気ということもあって、ぺんてるの「スマッシュ」と同様の販売戦略をとっています。具体的には、コラボ製品の開発や、限定モデルの販売です。特に、限定モデルは即完売、即プレミアとなるので、欲しいモデルがある人は要チェックです。
替芯にもこだわるなら、三菱鉛筆の「ハイユニ」がオススメ
シャーペン選びにこだわるなら、替芯にもこだわりましょう。紙に直接触れる替芯は、シャーペン以上に書き心地に直結します。実売300円と少し高いですが、替芯にこだわるなら三菱鉛筆の「ハイユニ」をオススメしておきます。
ちなみに、文房具には高度な原料加工技術が要求されるので、間違っても100均の安物は買わないでくださいね。シャー芯のような化学製品は品質の違いがモロに出ます。
【競合製品】ベストバイ製品以外の特長と評価
ベストバイに推薦した「クルトガ」を買っておけば間違いありませんが、その他製品についてもチェックしてまいります。
評価A オレンズ(ネロ) 1回のノックで長く書けて折れない
(2021.01.15現在)
まずは、ぺんてる製品では最も新しい「オレンズ」です。
オレンズの特徴
- 1回のノックで3倍長く書ける(オレンズ)
芯を出すのではなく、芯の減りに合わせて金属パイプが引っ込む - 筆記時に芯が露出しないので折れない(オレンズ)
スプリングで筆圧を吸収する他社製品とは全く別の発想! - 完全自動芯出しを実現(オレンズネロ)
1回のノックで芯1本を使い切るまで書ける
1回のノックで3倍長く書けて、しかも芯が折れない
こちらの製品は「1回のノックで長く書ける芯出し構造」が特徴です。オレンズという製品名から、芯が折れにくいだけの製品と誤解されがちですが、さらにハイテクな技術力が投入されています。
オレンズでは、芯の減りに合わせて、先端の金属パイプが内部に引っ込みます。4ミリの金属パイプが完全に隠れるまで書き続けられるので、1回のノックで長く書き続けることができます。
また、「芯を出さずに書く」というキャッチフレーズどおり、筆記時にも芯が先端から露出しません。芯が露出していないので、結果として芯が折れにくい。スプリングで衝撃を吸収するデルガード(ゼブラ)とは全く異なる方法で、芯折れ防止を実現しています。
ただ、正直に言うと、たしかに芯を出さずに書けますが、芯を出したほうが書き味は良いです。
実はオレンズとは全く構造が異なるオレンズネロ
1本2,500円前後の高級モデルであるオレンズネロは、単にオレンズの高級版と誤解されがちですが、ノックを省略する芯出しの構造が全く違います。それぞれの違いを下表にまとめました。
オレンズ | オレンズネロ |
芯の減りに合わせて金属パイプが奥に引っ込む(完全に金属パイプが隠れるまで書き続けられる) | 紙に触れるときに金属パイプが奥に引っ込み、元に戻るときの力で芯を引っ張り出す(芯を1本使い切るまで筆記が可能) |
なお、売り切れ続出の大ヒットを飛ばしたオレンズネロは、もともと0.2mmと0.3mmのみの販売でしたが、ついに待望の0.5mmが発売されました。0.5mmは調整が難しく、既存のモデルからは構造を変更しているとのことです。
待望の0.5mmが登場!
上記のとおり、独創的な発想力と技術力はお見事としか言いようがありません。ただ、字そのものをキレイに書けるクルトガ(三菱鉛筆)のほうが、万人向けの実用性としては一歩リードしているように思います。もちろん筆者は、0.5mmのオレンズネロも即購入しましたが。
評価B デルガード(ゼブラ) 折れにくいけど折れにくいだけ~という「あと一歩」感
(2021.01.16現在)
デルガードは「折れにくい」に特化した高機能シャーペンです。
上下2つのスプリングで筆圧を吸収!
こちら、ボディ内に2つのスプリングを内蔵しており、ペン先のスプリングが横方向の圧力を、奥側のスプリングが垂直方向の圧力を吸収します。
しかしながら、単に折れづらいという点では、0.2mm芯に対応するオレンズの方が優秀です。また、この価格帯のシャーペンのほとんどは「製図用」と呼ばれる製品で、構造的にそれほど芯が折れやすいわけではありません。よほど筆圧の強い人でなければ、そこまで折れにくさを意識する必要は無いかなと思います。
筆圧が強い人は高強度の芯を使うという手もある
また、筆圧の強い人は、折れにくい替芯を使うという選択肢もあります。ぺんてるの「アインシュタイン(Ain STEIN)」や三菱鉛筆の「ナノダイヤ」は、芯の強度と黒の濃度を両立した新開発の替芯です。
評価C ドクターグリップ(パイロット) 機能よりデザイン面の見直しが急務なロングラン製品
(2021.01.16現在)
ボールペンではフリクションが絶好調のパイロットですが、シャーペンでは販売30年のドクターグリップの知名度が抜群です。
新製品では2つの機能を追加!
新発売のドクターグリップ エースでは、人間工学に基づくグリップとフレフレ機構に加え、芯折れ防止機能と「ラスイチサイン」を新機能として搭載しました。
芯折れ防止機能はデルガード(ゼブラ)と同じくスプリング式ですが、ドクターグリップのスプリングは1つだけなので、芯折れ防止ではデルガードのほうが優秀かと思われます。また、残りの芯が1本になるとマークの色が変わる「ラスイチサイン」という小技も投入してきました。
しかしながら、既存のドクターグリップに新機能を搭載したとはいえ、実売700円以上という価格設定では厳しいかと。それ以上に、デザイン面での古臭さはどうにもならず、ドクターグリップという過去の成功体験からの脱却が急務と言えましょう。
【こちらも】製図用シャープペンシルの特徴と評価
ここからは、昔ながらの「製図用」シャーペンについて特徴を確認してまいります。どれも発売開始から数十年の歴史を持つ定番品です。これらの製図用シャーペンは、筆記具としての基本的な機能は同じなので、手に馴染むものを選ぶことをオススメします。
なお、ここでは掲載スペースの都合から3製品のみピックアップしますが、各メーカーの製図用シャーペンを製品名のみご紹介します。この中では、やはりステッドラーの925シリーズが、知名度では頭ひとつ抜けている感じでしょうか。
評価A スマッシュ コスパが優秀でブランディングも大成功
(2021.01.16現在)
まずは、若者向けのデザインが人気の「スマッシュ」です。コスパと知名度の高さからA評価を付けさせていただきました。
製図用シャーペンとしての基本性能を備えており、実売500円の価格帯では質感もトップクラス。前軸全体に真鍮パーツを使用しており、ペン先に適度な重さが感じられる設計となっています。
また、限定モデルやコラボ製品などの販売により、最もブランディングに成功している製品です。限定モデルはメルカリなどで数倍の価格で売買されています。近年では、ブランド力を維持するために、コラボモデルの乱発を控える努力もしているそうです。
評価A グラフ1000 無駄のない実用性重視の定番品
(2021.01.16現在)
さらに、製図用シャーペンの大定番と言えば「グラフ1000」です。
定番品という意味では、ステッドラーの925シリーズと迷いましたが、プロ用ツールとしては価格面の競争力も重要なので、よりコスパの高いグラフ1000にA評価を付けました。
現在のノック式シャーペンを世界で最初に開発した同社だけあり、非常に愛用者の多いモデルとなります。ちなみに、グラフ1000をカジュアルに再設計したのが、上で紹介したスマッシュです。
評価A シリーズ800(ロットリング) 最も美しい製図用シャーペンを求めるなら一択
(2021.01.18現在)
最後に、ロットリングの800シリーズです。ドイツにはロットリング以外にも、ステッドラーやファーバーカステルなど有名筆記具メーカーが多いですね。ステッドラーは実用品、ロットリングは高級品という得意分野を持っています。
こちら、実勢価格5,000円という高級品ですが、最も美しい製図用シャーペンを求めるなら一択と言ってよいでしょう。外箱すら美しいデザイン性と質感の高さは、実用性以上に所有欲を満たしてくれること請け合いです。
最大の欠点は、気軽に持ち出せないこと。冗談みたいな本当の話です。筆者も愛用の1本ですが、傷付くのが怖くてペンケースに入れられません(泣