【初心者歓迎】MX ErgoをSlimBlade Proとの比較のためだけに購入してみた件

つい先日、KensingtonのSlimBlade Proを購入したばかりのトラックボール初心者の筆者ですが、SlimBlade Proの操作感が思いのほか悪くなかったため、ロジクールのMX Ergoを購入してみました。

SlimBlade ProとMX Ergoは、トラックボール製品では最上位の価格帯でツートップの機種なので、この2つを使ってみることで、トラックボール製品の特徴やトレンドなどをつかむことができるのではないか?というのが今回購入の趣旨となります。

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Amazon’s data(2023.03.04現在)
レビュー数 2,978件・参考価格 12672円
 

MX Ergoの概要

基本スペック

MX Ergoのスペックは以下のとおりです。参考として下位機種のM575も並べます。価格が倍ほど違う製品を比較するのもなんですが、仕事とかで日がなPCを操作するのに使うのであれば、ボタン数の多いMX Ergoが素直にお勧めですね。

 MX ErgoM575
カスタム可能なボタン数6個3個
無線方式専用レシーバー、Bluetooth同左
無線接続台数2台1台
バッテリー充電式、最長4か月電池式、最長24か月
FLOW機能
本体チルト機能〇(20度)
参考価格15,200円6,400円

それにしても、ロジクールのトラックボールマウスはコスパ低いです。MX ErgoはMX Master3Sと同価格帯とは信じがたい質感(の低さ)ですし、M575は他社製品より3~4割ほど高価です。

附属品

附属品は最低限です。発売から5年以上経過しているため、専用レシーバーは旧式です。

  • 専用レシーバー
  • USBケーブル

本体及び付属品一式

競合製品

はっきり言ってMX Ergoに競合製品は無いんですが、筆者のようにキーボードやマウスなどの入力装置を遍歴するのが好きな人は、KensingtonのSlimBlade Proなども買うでしょうね。どっちか買うというより、両方買うというやつです。

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Slimblade Pro ワイヤレストラックボール K72081JP – Kensington (ケンジントン)
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レビュー数 38件・参考価格 16500円
 

実際に使ってみての印象

親指が疲れるということはありません

まずは、筆者にとって最も気になっていたことから書きます。

筆者は親指操作タイプのトラックボールマウスに対して「親指が疲れるんじゃないの?」という先入観を持っておりました。SlimBlade Proのような大玉タイプが5本の指すべてを使って操球するのに対して、MX Ergoは親指のみに負担が集中するためですね。ずっと指相撲のような動作を続けるようなものですから、たいそう指が疲れるでしょうねと。

さて、筆者が危惧していた親指疲労問題に対する実際に使用しての感想は、「多くの人にとって気にもならないだろう」というレベルかと思います。文書作成が多い筆者の場合だと、キーボードでのタイピングの合間にMX Ergoでマウス操作をしたからといって、親指が疲れるという状況はまったく生じません。圧倒的にキーボードの操作時間のほうが長いからですね。なので、MX Ergoでシューティングゲームをするとか、スクリーンキーボードで長文入力するとか、特殊あるいは極端な使い方をしなければ、親指が悲鳴を上げる危険性は少ないと思いますよ(ちなみに、トラックボールユーザーのひろゆき氏も、FPSゲーマーには使用を勧めていません)。

ただ、小玉トラックボールの宿命として、大きな距離の移動には不向きなので、高解像度モニタの端から端まで移動を繰り返すような用途だと、疲れる以前の問題として別の製品を探すべきだと思います。

親指タイプはクリック操作との相性が良い

次に、親指トラックボールの操作性はどうでしょう?結論から言えば、親指操作のほうが便利です。単にトラックボールを動かすだけなら長い指(人差し指や中指)のほう回しやすいですが、親指にはトラックボールを操作しながら他の指でクリックボタンを押しやすいという利点があります。テキストを範囲選択したり、その状態で右クリックメニューを開いたり、日常よく使う操作がしやすいんですよね。

Amazonで「トラックボールマウス」を検索すると親指操作タイプが圧倒的に多いのも、一般的なPC作業における実用性の高さを反映したものだと言えると思います。

なんとなく、老舗であるKensingtonの大玉タイプが正統派のトラックボールなのかな?と思っていましたし、そういうわけでSlimBlade Proを先に購入したわけですが、実際に両者を使い比べてみると、総合的な扱いやすさでは親指操作のMX Ergoのほうが上というのが筆者の結論です。

ボールが小さいほどミリ単位のカーソル移動に好適

MX Ergoの小玉ボールの操作性はどうでしょう?大玉トラックボールの代表格であるSlimBlade Proと比較してみました。ちなみに、MX Ergoのトラックボールは直径34㎜で、SlimBlade Proは55㎜となっています。数字ではピンときませんが、実際に見比べると相当な違いがあります。

Slimbladeのトラックボールと比較

トラックボールの大小による使用感の違いを比較すると、ボールが小さいほど摩擦が少なくミリ単位の操作に向いており、ボールが大きいほどギア比や慣性の働きにより長い距離の移動に適しています。両者の中間にタッチパッドが存在するのではないか?と思ってしまうほど、大玉と小玉の操作感は別モノです。

このため、MX Ergoのほうが、テキストの範囲選択や、ブラウザのタブ切替などの日常的によく行う操作がはかどる反面、画面の端から端へダイナミックに移動するような操作は非常に億劫です。筆者はWQHDモニタを横に2台並べていますが、ポインタを左端から右端に移動するのに、MX Ergoではボールを4回はじかなければなりません。それと反対に、3画面以上のマルチモニタや5K以上の高解像度モニタなど、ポインタの長距離移動が必要な環境ほど大玉トラックボールの利便性が高まります(このようなモニタ環境での使用が前提であれば、大玉タイプの強みを最大限に発揮できると思います)。

「そのうち慣れる」には期待しないほうがいい

トラックボールを使い始めた人が必ず言いますよね、「そのうち慣れるかもw」って。でも、トラックボールの操作に関しては、あまり慣れに期待しないほうがいいです。というのも、トラックボールを使いづらく感じる原因の大部分は、慣れや不慣れの問題ではないからです。

そもそも、トラックボールの最大の使いづらさって、「思いどおりにポインタが動かないこと」なんですよね。もちろん最初期のうちは慣れの問題もあるかもしれませんが、次の2点はトラックボールとは切り離せない固有の問題ではないかと思います。

  1. トラックボールは直線的な動きに弱い
    ⇒狙った場所に最短距離では動かない、文字の範囲選択に必要な水平移動も苦手
  2. 長距離のポインタ移動にはボールを「はじく」操作が必要
    ⇒どの方向にどれだけ移動するのか予測できない

結局のところ、トラックボールによるポイントの移動には無駄が多くなり、それが「思いどおりにポインタが動かない」と感じる原因になるのかと思います。

MX Ergoに慣れるとマウス操作がダルくなった

MX Ergoを仕事で使い始めた翌朝、筆者に衝撃の変化が訪れました。

普通のマウスの操作がとてもダルい。

このような感覚は初めてです。

ここで「普通のマウス」とは、筆者愛用のMX Master 3S(ロジクール)であり、ゲーミングなど特殊な用途を除けば現役最強マウスだと思っています。2015年に初代が発売されて以来、10台近く買ってるんじゃないか?というくらい使い込んでおり、使いやすさと実用性に絶対の信頼を置いている製品であります。

で、何がどうダルいのか。

マウスが重いんですよ。

これまで一度も意識したことがなかったんですが、マウスにも重量があるんだなと。それをマウスパッドの上で引きずったり、離れた場所にポインタを動かすために持ち上げたり、そういった操作が非常にダルく感じるわけです。

おそらく、普通のマウスを使うときには、マウスを動かすのに必要な筋量を無意識で発動させているのだと思うんですよね。一方で、MX Ergoに慣れてしまうと、発動すべき筋量の感覚が狂う。親指でトラックボールを動かす程度の筋量でマウスに触れるものだから、脳内レベルで想定していた重量とのギャップを感じてしまうのかなと。

このような感覚の変化は、筆者にとっても驚きでしたね。MX Ergoをたった1日、気分転換を兼ねて仕事で使ってみただけですから。トラックボールが普通のマウスの置き換えになるなんて思ってもいなかったわけですから。だからこその驚きです。

チルト機能はクリック操作の頻度により使い分けるべき

本体を20度傾けるチルト機能の実用性はどうでしょう?感覚的な問題なので個人差もあると思いますが、チルト機能を使ったほうが三角筋(上腕の外側から肩にかけて)がラクに感じますね。さらに60度まで傾けられる社外品のスタンドも売られているようなので、興味のある方はどうぞ。

一方で、チルト機能を使用した場合、人差し指と中指のポジションが決まらないような違和感があり、クリック操作に多少のストレスを感じますね。本体の傾きにあわせて手のひら全体が重力方向に寄るため、微妙なポジションのズレが生じることが原因かと思われます。

幸いなことに、MX Ergoのチルトは手間なく切り替えられるので、クリック操作を多用するときはノーマルポジションとか、使用場面に応じて使い分ければよいと思います。

ボタンの配置は残念、後継機に期待します

ボタンに関しては、数、形状、位置、静音性など、実用面での不満が大きいですね。MX Ergoの最大の欠点は、ボタン周りの設計にある思っています。

MX Ergoと同価格帯のMX Master 3Sと比べると、プログラム可能なボタン数は同じ(6つ)ですが、MX Ergoはそのうち2つがチルトホイールに割り振られており、さらに、人差し指の位置にあるボタンも押しづらいです。

せめて、ホイール下に配置された端末切替ボタンがプログラム可能であればと悔やまれますね。MX Ergoも発売から5年以上経っているので、後継機ではボタン周りの改良を期待しています。

ソフトは最強だが、設定項目が増えるとさらに良い

ソフトに関しては、お馴染みのLogicool Optionsを使用しているため、ロジクールユーザーなら追加インストールが不要なのは有難いですね。もちろん、マルチPCユーザーにはキラーアプリとなる「FLOW」にも対応しています。

欲を言えば、ホイール下の機器選択ボタンをプログラム可能であればいいのと、プレシジョンモード(ボタン切替でカーソルの移動速度を下げるモード)のポインタ速度できればいいですね。また、ボタン同時押しにも操作を割り当てられればなと思います。SlimBlade Proでは、同時押しを含めて4つのボタンに8つの操作を割り当てることが可能なので。

というわけで以上です。

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