今回は、家庭でオフィスで大活躍の「テプラ」について、ベストバイを検証していきます。
30周年を迎えたテプラですが、そのラインナップは多種多様。3万円を超える高級機から、アンダー1万円のエントリー機まで、全13機種の品揃えとなっています。
自分もテプラPRO SR550Pの熱烈愛用者ですが、いざテプラを買おうとすると「機種ごとの違いがサッパリ分からない」という声も耳にします。この記事を読んでいただければ、必ず、あなたのベストバイに出会えるハズですよ。
本記事の推定読了時間は5分です。「そんな長ったらしいレビューは読みたくねえっ」という方は、目次から文末にぶっ飛んでしまってくださいね(滝汗
スペック比較のポイント
まずは、テプラ本体を購入するときのポイントから確認します。細かな違いはあとで確認していきますが、ざっくりと以下の3点が重要です。
テプラ選びのポイント
- ATOK搭載
- 対応テープ幅(4~36mm)
- PC・スマホ連携
ちなみに、本記事ではテプラの標準シリーズである「テプラPRO」について比較検討していますが、紙テープ専用の「テプラLite」、「こはる」、「ひより」、さらに、50mmと100mmの極太テープ専用の「テプラGrand WR1000」も販売されています。
ATOK(エートック)搭載
まずは、日本語変換エンジン「ATOK」の搭載有無です。
日本語変換エンジンとは、平仮名を漢字やカタカナへ変換するためのソフトです。日本語変換エンジンが賢ければ、熟語や固有名詞などを一発変換できます。逆に、変換性能が低いと、音読みで1文字ずつ漢字変換しなくてはなりません。
この日本語変換エンジン「ATOK」は、スタンダードクラス以上(テプラPRO SR530以上)の機種に搭載されています。ATOK非搭載のエントリークラスとの価格差は5千円ほどなので、テプラの使用頻度が高い方には是非お勧めしたい機能です。
対応機種
スタンダードクラス以上(テプラPRO SR530以上)
対応テープ幅
テプラの標準テープは幅4mmから36mmまでの7種類となっており、機種ごとに対応する最大テープ幅が異なります。なお、一般的な紙ファイルの背ラベルには12mmが最適とされています。
最大テープ幅 | 製品名(テプラPRO) |
36mm | SR970、SR750、SR5900P |
24mm | SR670、SR530、SR370、SR5500P、SR3500P |
18mm | SR170、SR-GL2、SR-GL1、SR-RK2、SR45 |
ハイスペック スタンダード エントリー ホーム PC専用
ちなみに、筆者の自宅及び作業場でも、使っているのは12mmテープだけです。家庭やオフィスでの文書整理が主な用途であれば、基本的にどの機種でも必要十分でしょう。「宝の持ち腐れ」にならないように注意したいところです。
もちろん36mmの極太テープなら、下のような職人芸的ラベルも作成可能です。逆に言うなら、最上級機種を使いこなすには、デザイン的なセンスが求められるとも言えるでしょう。
36mmテープの作品例
さらに、標準テープのほかに、15種類の「機能性ラベル」があります。そのうち「カットラベル」と「転写テープ」はテプラ上位機種のみの対応となっています。
テープ種類 | 製品名(テプラPRO) |
カットラベル | SR970、SR5900P |
転写テープ | SR970、SR750、SR670、SR5900P |
カットラベルはあらかじめ丸型や楕円にカットされており、フチ無し印刷が可能です。カットラベルを使用するのであれば、最上位機種を選択することとなります。
ちなみに、インデックスシールの作成に特化した「タイトルブレーン2」という製品も販売されています。こちらはコクヨの製品となります。インデックスシールしか作れないので使用場面は少ない?いやいや、筆者の仕事場ではテプラ以上に使いまくっていますよ。ファイリングが大好きな人には垂涎のアイテムだと思うので、テプラとあわせてご紹介しておきます。
PC・スマホ連携
スタンダードクラス以上(テプラPRO SR530以上)の機種では、テプラをパソコンに接続して使用することができます。なお、パソコン側には専用アプリ「SPC10」をインストールします。
パソコン上で実際の見た目どおりにラベルをデザインできるほか、Excelデータから「流し込み印刷」もでき、テプラ単体で使用するより使い勝手が飛躍的に向上します。また、手持ちのJPGデータを挿入したり、1675種類ものデザインテンプレートを使用することも可能です。
さらに、PC専用機のSR5900PとSR5500Pでは、スマホアプリ「TEPR LINK」でもラベルを作成することができます。筆者もテプラPRO SR5500Pの愛用者ですが、パソコンを立ち上げる手間が無いので使い勝手は抜群ですね。しかも、機能がパソコン版(SPC10)より絞られているため、直感的に使用できるのもポイントです。
対応機種
スタンダードクラス以上(テプラPRO SR530以上)、PC専用機
2019年テプラPROベストバイ
それでは、2019年テプラPROベストバイの検討結果です。
テプラ単体で使える万能機種として「SR750」を、場所を取らないPC専用機として「SR5500P」をベストバイに選出いたします。選出理由は以下のとおりです。
テプラPRO SR750
単体使用可能なテプラとしては、「SR750」をベストバイに推薦します。
まず第一に、ベストバイを検討するうえでコストパフォーマンスはとても重要です。テプラは定価と実勢価格の乖離が大きいことにも注意が必要です。
下表をご覧ください。最上位機種のSR970から、エントリークラスのSR370までの実勢価格を一覧にしてみました。最上位機種は突出して高価格ですが、下位機種ほど価格差が縮まります。少なくとも、SR370を選ぶ理由が無いことは一目瞭然です。
クラス | ハイ | スタンダード | エントリー | ||
機種 | SR970 | SR750 | SR670 | SR530 | SR370 |
実勢価格(税込み) | 24,792円 | 17,549円 | 14,779円 | 10,721円 | 9,945円 |
上位機種との価格差 | – | 7,243円 | 2,770円 | 4,058円 | 776円 |
したがって、どうしてもSR970が必要なユーザーを除けば、スタンダードクラスの3機種からベストバイを探すことになります。(ちなみに、SR970にしか無い機能は、「カットラベル」という専用テープに対応していることくらいです)
そして、スタンダードクラス3機種の「型番」にご注目いただきたいのですが、型番からSR670が最新世代であることが分かります。SR530は2006年発売ですから、10年以上もモデルチェンジが行われていません。
このため、SR750とSR670はスペックに逆転現象が生じており、SR750が完全上位という位置付けではありません。また、SR670とSR530にはかなりの機能差があるため、SR370はコスパが高い、ということにもなりません。(詳しくは、文末のスペック表をご覧ください)
魅力はハード性能
それでもSR750のハード性能の高さは大きな魅力です。大型液晶はテプラ単体で使用するときに重宝しますし、フォントの輪郭がスムーズな「アウトラインフォント」を採用しています。
最新世代のSR670は内蔵フォントやテンプレートがSR750より豊富ですが、PC接続(専用ソフトSPC10を使用)すればカバーできる違いです。モデル末期で値落ちしているSR750をベストバイとして推奨したいと思います。
ハード性能の高さがSR750の長所
- 大型液晶搭載(15文字×5行)
- アウトラインフォント
- 36mmテープ対応
テプラPRO SR5500P
続いて、PC専用機として「SR5500P」をベストバイに推薦します。
まずは実勢価格の確認から。見てのとおり、最上位のSR5900PとSR5500Pの価格差に明確な開きがあります。SR5900Pは上で紹介したSR750よりも実勢価格が高いという点がネックですね。
次に、3機種のスペックを比較していきます。SR5900Pのハード性能はテプラ最上位機種のSR970と同等です。SR5500PはSR670相当のハード性能ですが、ハーフカットとオートトリマーが付きません。
完全ケーブルレス!
ここで注意したいのが、SR5500Pのみ乾電池駆動に対応だという点です。せっかくコンパクトなPC専用機ですが、SR5900PとSR5500PにはACアダプタをつなぐ手間があります。したがって、完全ケーブルレスで使えるのはSR5500Pのみ、ということになります。
機種 | SR5900P | SR5500P | SR3500P |
最大テープ幅 | 36mm | 24mm | 24mm |
無線接続 | LAN(有線・無線) | Bluetooth | × |
オートトリマー | ○ | × | × |
カッター | オート | オート | オート |
ハーフカット | ○ | × | × |
高速印刷 | ○ | × | × |
印字品質 | 360dpi | 180dpi | 180dpi |
乾電池駆動 | × | ○(単3×6本) | × |
カットラベル | ○ | × | × |
最上位機種のSR5900Pは、ケーブルレスで使えないという中途半端な仕様が残念で、上で紹介したSR750のほうが価格的にも魅力です。したがって、PC専用機としては、SR5500Pをベストバイに推したいと思います。(実際に筆者も使っていますが、SR5500Pとスマホの組み合わせは最強です)
ちなみに、デスクトップPCと無線接続する場合には、「USBドングル」を使うのが手軽です。一つ持っておくと、他の機器とも無線通信できるので重宝します。
詳細スペック表
最後に、テプラPROシリーズのスペック表を掲載します。項目が多いので、おおまかに「ハード性能」と「入力・編集機能」に大別しています。
テプラの機種選びで注意すべき点としては、SR750とSR670のスペックの一部で逆転現象がみられることでしょう。最新型番(SR770)へのモデルチェンジが行われていないことが原因かと思われます。
ハード性能
ハード性能で重要なのは「フォント方式」で、最上位のSR970とSR750は「アウトライン方式」を採用しています。ビットマップ方式に比べて文字の輪郭がスムーズなので、印刷時の仕上がりに違いが出ます。
クラス | ハイ | スタンダード | エントリー | PC専用 | ホーム | ||||||||
機種 | SR970 | SR750 | SR670 | SR530 | SR370 | SR170 | SR5900 | SR5500 | SR3500 | GL2 | GL1 | RK2 | SR45 |
最大テープ幅 | 36mm | 24mm | 18mm | 36mm | 24mm | 18mm | |||||||
PC接続 | ○ | × | ○ | × | |||||||||
無線接続 | × | LAN | BT | × | |||||||||
フォント方式 | アウトライン | ビットマップ | – | ビットマップ | |||||||||
液晶サイズ | 15文字×5行 | 8×4 | 6×4 | 8×4 | 6×2 | – | – | – | 8×4 | 6×4 | 6×2 | ||
オートトリマー | ○ | × | ○ | × | |||||||||
カッター | オート | 手動 | |||||||||||
ハーフカット | ○ | × | ○ | × | |||||||||
テープ長固定 | ○ | – | ○ | × | |||||||||
プレビュー | ◎ | ○ | – | ◎ | ○ | ||||||||
印刷履歴 | 10件 | 5件 | 10件 | 5件 | 9件 | × | – | × | |||||
連続印刷 | ○ | × | – | × | ○ | × | |||||||
2WAY電源 | ○ | × | ○ | × | ○ | × | |||||||
ニッケル水素 | ○ | × | ○ | – | ○ | × | |||||||
バックライト液晶 | ○ | × | – | × | |||||||||
高速印刷 | ◎ | ○ | × | ◎ | × |
入力・編集機能
入力・編集機能に関しては、やはり日本語変換エンジン「ATOK」が重要です。また、機種ごとに内蔵フォントやデザインの種類に違いがありますが、スタンダードクラス以上(SR530以上)の機種はPC接続できるので、その違いはカバーできます。
クラス | ハイ | スタンダード | エントリー | PC専用 | ホーム | ||||||||
機種 | SR970 | SR750 | SR670 | SR530 | SR370 | SR170 | SR5900 | SR5500 | SR3500 | GL2 | GL1 | RK2 | SR45 |
ATOK搭載 | ○ | × | – | × | |||||||||
予測入力 | ○ | × | – | × | |||||||||
コピペ機能 | ○ | × | – | × | |||||||||
最大印刷行数 | 13行 | 8行 | 6行 | – | 5行 | 3行 | |||||||
らくつめ | ○ | × | – | × | |||||||||
内蔵書体数 | 45 | 27 | 34 | 25 | 13 | 9 | – | – | – | 18 | 17 | 7 | 7 |
デザインテンプレ | 136種 | × | 131種 | 30種 | 98種 | × | – | 13種 | × | ||||
ビジネスフォーム | 11種 | 8種 | 9種 | 4種 | × | – | × | ||||||
連番機能 | ○ | × | – | × | |||||||||
あて名登録 | ○ | × | – | × | |||||||||
ダイレクトキー | 4種 | 3種 | 5種 | 1種 | 3種 | – | 3種 | 2種 | 3種 | ||||
ホームキー | ○ | × | – | × | |||||||||
文字サイズ | 13種 | 7種 | 6種 | – | 6種 | 5種 | |||||||
拡大印刷 | ○ | × | – | × | |||||||||
記号・絵文字 | 1391 | 1238 | 1500 | 1424 | 1234 | 972 | – | 1036 | 687 | 1022 | 859 | ||
表組み・外枠 | 150 | 99 | 136 | 124 | 91 | 76 | – | 85 | 69 | 101 | 64 | ||
合成フォント作成 | ○ | × | – | × | |||||||||
バーコード | 8規格 | 7規格 | × | – | × |
というわけで、今回は以上となります。