今回は、家庭でオフィスで大活躍の「テプラ」の選び方とオススメを検証します。
3万円を超える高級機から、アンダー1万円のエントリー機まで、全15機種からベストバイを絞り込みます。
なお、本記事ではテプラの標準シリーズである「テプラPRO」について比較検討していますが、紙テープ専用の「テプラLite」、「こはる」、「ひより」、さらに、50mmと100mmの極太テープ専用の「テプラGrand WR1000」も販売されています。
なお、文具関係については他にも書いていますので、あわせてお読みいただければ幸いです。
文具・オフィス用品に関する記事
【最新】テプラ製品の特徴と選び方
まずは、テプラ本体を購入するときのポイントから確認します。細かな機能差はあとで確認していきますが、「取り返しのつかない要素」としては以下の3点が重要です。
テプラ選びのポイント
- PC・スマホ連携機能
- 日本語変換ソフト「ATOK」搭載
- 対応テープ幅(4~50mm)
PC・スマホ連携
重要 PCやスマホにテプラを連携することで、ラベル作りが劇的にはかどります。テプラ単体で使用するより操作も簡単なので、取説を読む手間も大幅に省けます。
キーボード付きテプラでは、スタンダードクラス以上(SR530以上)でPCとの連携が可能です。最近では、PC・スマホ専用機のラインナップも増えています。製品ごとに接続可能な外部機器が違うのでご注意ください。
PC・スマホへの対応一覧使用アプリは3種類ありますが、最も高機能なのはPC用の「SPC10」です。Excelデータから「流し込み印刷」もでき、テプラ単体で使用するより使い勝手が飛躍的に向上します。また、手持ちのJPGデータを挿入したり、1675種類ものデザインテンプレートを使用することも可能です。
連携アプリの特徴スマホ用のアプリでは「TEPRA LINK2」と「Hello」の2種類がありますが、TEPRA LINK2の方がシンプルで事務作業向き、最新アプリのHelloはお洒落なテンプレートが特徴です。
ひかぱん筆者もテプラPRO SR5500P(TEPRA LINK2対応)の愛用者ですが、パソコンを立ち上げる手間が無いので使い勝手は抜群ですね。ATOK(エートック)搭載
PC連携せずテプラ単体での使用が多い場合、日本語変換ソフト「ATOK」は必須です。ATOK搭載機では、豊富な内蔵辞書により熟語・固有名詞の一発変換が可能となるほか、予測変換機能によりキー入力の途中でも変換が可能です。
なお、ATOKが標準搭載されているSR530以上の機種は、すべてPC連携も可能です。どの機種を買おうか迷ったら、「とりあえずSR530以上」を買っておけば間違いありません。
対応テープ
テプラの標準テープは、幅4mmから50mmまでの8種類となっています。36mm以上のテープには、各グレードの最上位機種のみ対応しています。
機種別 テープ対応表書類整理なら12mmテープだけで十分
家庭やオフィスでの書類整理に便利な「フラットファイル」の場合、12mmのテープ幅が最適です。資料のラベル作りが中心であれば、24mm以上のテープはまず使うことはないでしょう。
12mmテープが最適!
プラス エコノミー フラットファイル A4縦 2穴 10冊パック 79-355 ブルー – PLUS(プラス)Amazon’s data(2021.04.18現在)レビュー数 437件・参考価格 361円業務用では50mmテープも活躍
一方、50mmの幅広テープは施設内での案内表示などに最適です。レイアウトの自由度が高いため、工夫次第で用途が広がる魅力があります。
機能性テープ標準テープ以外では、15種類の「機能性テープ」があります。そのうち、「カットラベル」と「転写テープ」は、テプラ上位機種のみの対応となっています。必要な方はご注意ください。
以上がテプラPROの基本的な選び方です。上記以外の「あれば便利」な機能の違いについては、以下の個別製品紹介で補足します。
2023年テプラPROベストバイ
ここからは、テプラPROの推奨製品を絞り込みます。
テプラ単体で使える万能機種として「SR750」を、場所を取らないPC・スマホ専用機として「SR5500P」をベストバイに選出いたします。選出理由は以下のとおりです。
テプラPRO SR750
単体使用可能なテプラとしては、「SR750」をベストバイに推薦します。
キングジム ラベルライター「テプラ」PRO SR750 – キングジム(Kingjim) Amazon’s data(2021.04.22現在) レビュー数 282件・参考価格 17776円 |
まず第一に、ベストバイを検討するうえでコストパフォーマンスはとても重要です。テプラは定価と実勢価格の乖離が大きいことにも注意が必要です。
下表をご覧ください。最上位機種のSR980から、エントリークラスのSR370までの実勢価格を一覧にしてみました。最上位機種は突出して高価格ですが、下位機種ほど価格差が縮まります。少なくとも、SR370を選ぶ理由が無いことは一目瞭然です。
クラス | ハイ | スタンダード | エントリー | ||
機種 | SR980 | SR750 | SR-R680 | SR530 | SR370 |
実勢価格(税込み) | 34,590円 | 17,549円 | 16,300円 | 10,721円 | 9,945円 |
上位機種との価格差 | – | 17,041円 | 1,249円 | 4,058円 | 776円 |
したがって、どうしてもSR980が必要なユーザーを除けば、スタンダードクラスの3機種からベストバイを探すことになります。(SR980は「カットラベル」という専用テープに対応しているほか、新機能としてテープ自動検出機能や余白削減機能が搭載されました。特殊なラベルを頻繁に作成するような用途にはとても便利です)
そして、スタンダードクラス3機種の「型番」にご注目いただきたいのですが、型番からSR-R680が最新世代であることが分かります。SR530は2006年発売ですから、10年以上もモデルチェンジが行われていません。
このため、SR750とSR-R680はスペックに逆転現象が生じており、SR750が完全上位という位置付けではありません。また、SR-R680とSR530にはかなりの機能差があるため、SR370はコスパが高い、ということにもなりません。(詳しくは、文末のスペック表をご覧ください)
魅力はハード性能
それでもSR750のハード性能の高さは大きな魅力です。大型液晶はテプラ単体で使用するときに重宝しますし、フォントの輪郭がスムーズな「アウトラインフォント」を採用しています。
最新世代のSR680は内蔵フォントやテンプレートがSR750より豊富ですが、PC接続(専用ソフトSPC10を使用)すればカバーできる違いです。モデル末期で値落ちしているSR750をベストバイとして推奨したいと思います。
ハード性能の高さがSR750の長所
- 大型液晶搭載(15文字×5行)
- アウトラインフォント
- 36mmテープ対応
テプラPRO SR2500P
続いて、キーボードを搭載しない機種からは、「SR5500P」をベストバイに推薦します。
Amazon’s data(2023.01.12現在) レビュー数 205件・参考価格 14100円 |
まずは実勢価格の確認から。下表を見てのとおり、最上位のSR-R7900Pの価格が突出して高価です。SR5900Pは上で紹介したSR750よりも実勢価格が高いという点がネックですね。なお、SR-MK1は2電源に対応していますが、SR5500Pとは異なり、ACアダプタが別売りとなっています。
機種 | SR-R7900P | SR5900P | SR5500P | SR-MK1 | SR2500P |
実勢価格(税込み) | 42,282円 | 18,634円 | 14,100円 | 12,112円 | 8,962円 |
上位機種との価格差 | – | 23,648円 | 4,534円 | 1,988円 | 3,150円 |
次に、各機種のスペックを比較していきます。
ポイントとしては次の2点が重要です。
- 乾電池駆動に対応していること
- PCとスマホの両方に接続できること
完全ケーブルレス!
ハード性能でまず注意したいのが、SR-R7900PとSR5900Pは乾電池駆動に非対応だという点です。無線LAN対応機なのにケーブルレスでは使えないという中途半端な仕様が残念です。キーボード搭載機のSR-980やSR-750のほうが価格的にも有利なため、これらの機種を積極的に選ぶ理由は見当たりません。
さらに、残りの3機種は完全ケーブルレスで使用できますが、低価格が魅力のSR-MK1とSR2500Pはスマホ専用機となっており、業務用には不向きと言わざるをえません(家庭用にしか使わないなら、SR2500Pが圧倒的にお勧めですが)。
したがって、キーボード非搭載のテプラでは、SR5500Pをベストバイに推したいと思います。実際に筆者も使っていますが、SR5500Pとスマホの組み合わせは説明書要らずで最強です。ひとつ注文をつけるなら、そろそろモデルチェンジしてもいいんじゃない?ということくらいでしょうか。
その他のスペックについては、下表でご確認ください。
機種 | SR-R7900P | SR5900P | SR5500P | SR-MK1 | SR2500P |
最大テープ幅 | 50mm | 36mm | 24mm | 18mm | |
無線接続 | Wifi | Bluetooth | |||
オートトリマー | × | ○ | × | ||
カッター | オート | ||||
ハーフカット | ○ | × | |||
高速印刷 | ○ | × | |||
印字品質 | 300dpi566dot | 360dpi384dot | 180dpi128dot | ||
乾電池駆動 | × | ○(単3×6本) | |||
カットラベル | × | ○ | × | ||
ACアダプタ | 同梱 | 別売り | 同梱 |
なお、キーボード搭載機との機能比較としては、SR5900Pのハード性能はテプラ最上位機種のSR980とほぼ同等です(余白削減機能はありません)。SR-MK1とSR5500PはSR-R680相当のハード性能ですが、ハーフカットとオートトリマーが付きません。
ちなみに、デスクトップPCと無線接続する場合には、「USBドングル」を使うのが手軽です。一つ持っておくと、他の機器とも無線通信できるので重宝します。
詳細スペック表
最後に、テプラPROシリーズのスペック表を掲載します。項目が多いので、おおまかに「ハード性能」と「入力・編集機能」に大別しています。
テプラの機種選びで注意すべき点としては、SR750とSR670のスペックの一部で逆転現象がみられることでしょう。最新型番(SR770)へのモデルチェンジが行われていないことが原因かと思われます。
ハード性能
ハード性能で重要なのは、テープの出来上がりに影響する「フォント方式」で、最上位のSR980とSR750は「アウトライン方式」を採用しています。ビットマップ方式に比べて文字の輪郭がスムーズなので、印刷時の仕上がりに違いが出ます。
クラス | ハイ | スタンダード | エントリー | PC専用 | スマホ専用 | ホーム | |||||||||
機種 | SR980 | SR750 | SR-R680 | SR530 | SR370 | SR170 | SR-R7900P | SR5900 | SR5500 | SR-MK1 | SR2500 | GL2 | GL1 | RK2 | SR45 |
最大テープ幅 | 36mm | 24mm | 18mm | 50mm | 36mm | 24mm | 18mm | 18mm | |||||||
PC接続 | ○ | × | ○ | × | |||||||||||
無線接続 | × | LAN | BT | × | |||||||||||
フォント方式 | アウトライン | ビットマップ | – | ビットマップ | |||||||||||
液晶サイズ | 15文字×5行 | 8×4 | 6×4 | 8×4 | 6×2 | – | 8×4 | 6×4 | 6×2 | ||||||
テープ自動検出 | ○ | × | – | × | |||||||||||
オートトリマー | ○ | × | × | ○ | × | ||||||||||
カッター | オート | 手動 | |||||||||||||
ハーフカット | ○ | × | ○ | × | |||||||||||
余白削減 | ○ | × | |||||||||||||
テープ長固定 | ○ | – | ○ | × | |||||||||||
プレビュー | ◎ | ○ | – | ◎ | ○ | ||||||||||
印刷履歴 | 10件 | 5件 | 10件 | 5件 | 9件 | × | – | × | |||||||
連続印刷 | ○ | × | – | × | ○ | × | |||||||||
ピック&プリント | ○ | × | |||||||||||||
2WAY電源 | ○ | × | ○ | × | ○ | × | |||||||||
ニッケル水素 | ○ | × | ○ | – | ○ | ○ | × | ○ | |||||||
バックライト液晶 | ○ | × | – | × | |||||||||||
高速印刷 | ◎ | ○ | × | ◎ | × |
入力・編集機能
入力・編集機能に関しては、やはり日本語変換エンジン「ATOK」が重要です。また、機種ごとに内蔵フォントやデザインの種類に違いがありますが、スタンダードクラス以上(SR530以上)の機種はPC接続できるので、その違いはカバーできます。
クラス | ハイ | スタンダード | エントリー | PC専用 | スマホ専用 | ホーム | |||||||||
機種 | SR980 | SR750 | SR-R680 | SR530 | SR370 | SR170 | SR-R7900P | SR5900 | SR5500 | SR-MK1 | SR2500P | GL2 | GL1 | RK2 | SR45 |
ATOK搭載 | ○ | × | – | × | |||||||||||
予測入力 | ○ | × | – | × | |||||||||||
コピペ機能 | ○ | × | – | × | |||||||||||
最大印刷行数 | 14行 | 8行 | 6行 | – | 5行 | 3行 | |||||||||
らくつめ | ○ | × | – | × | |||||||||||
内蔵書体数 | 45 | 27 | 34 | 25 | 13 | 9 | – | 18 | 17 | 7 | 7 | ||||
デザインテンプレ | 172種 | × | 131種 | 30種 | 98種 | × | – | 13種 | × | ||||||
ビジネスフォーム | 11種 | 8種 | 9種 | 4種 | × | – | × | ||||||||
連番機能 | ○ | × | – | × | |||||||||||
あて名登録 | ○ | × | – | × | |||||||||||
ダイレクトキー | 4種 | 3種 | 4種 | 1種 | 3種 | – | 3種 | 2種 | 3種 | ||||||
ホームキー | ○ | × | – | × | |||||||||||
文字サイズ | 13種 | 7種 | 6種 | – | 6種 | 5種 | |||||||||
拡大印刷 | ○ | × | – | × | |||||||||||
記号・絵文字 | 1512 | 1238 | 1500 | 1424 | 1234 | 972 | – | 1036 | 687 | 1022 | 859 | ||||
表組み・外枠 | 150 | 99 | 136 | 124 | 91 | 76 | – | 85 | 69 | 101 | 64 | ||||
合成フォント作成 | ○ | × | – | × | |||||||||||
バーコード | 8規格 | 7規格 | × | – | × |
というわけで、今回は以上となります。