2024’完全図解!Majestouch,Archisite全147製品の比較と選び方

こんにちは、ひかぱんです。

今回は、メカニカル式キーボードの老舗ブランドである、FILCOの「Majestouch(マジェスタッチ)」のベストバイを検証していきますね。あわせて、Majestouchの競合製品となるArchisite(アーキサイト、こちらも老舗)との詳しい比較も行います。

ひかぱん
独特の打鍵感ばかり注目されがちなメカニカル方式ですが、実は耐久性と価格のバランスも大きな魅力です。

今回ご紹介するMajestouchは、数あるキーボード屋さんの中でも屈指の製品数を誇るメーカーなので、「どれを買うべきなのかサッパリ分からない!」という声を多く耳にします。この記事を読んでいただければ、必ず、ベストな一台に出会えるはずですよ。

なお、キーボードについては他にも書いていますので、あわせてお読みいただければ幸いです。

本記事の推定読了時間は6分です。「そんな長ったらしいレビューは読みたくねえっ」という方のために、先にベストバイだけネタバレしておきます。理由については後述のとおりです。

万人向けのベストバイ

 
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ここがポイント

標準モデルのMajestouch2にBluetooth接続を搭載したコスパモデル。キースイッチはクセのない茶軸か赤軸がオススメです。

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【図解】1分でしっかり分かる!メカニカルキーボードの利点と特徴

個別製品の選び方を説明する前に、メカニカル方式の利点と特徴を図解付きで詳しく説明します。

メカニカル方式というと、打鍵時のカチカチ音の印象が強いのですが、実は価格と耐久性のバランスが良いのも大きな魅力です。

メカニカル方式の特徴

  • 価格と耐久性のバランスが良い
  • メカニカル方式ならではの打鍵感
  • キースイッチごとに交換可能(手間と費用はそれなりにかかる)

図解1 キースイッチの価格と耐久性の比較 キーボードに1万円払うならメカニカル方式がベスト

キースイッチの方式による価格と耐久性の違いを下表にまとめました。なお、主にノートPCで使われるパンタグラフ方式は、メンブレン方式と特徴はほぼ同様です。

中間価格で高耐久!

静電容量無接点方式には1億回打鍵の耐久性を公言する製品もありますが、個人使用ではオーバースペックのため、必ずしもコスパは良くありません。メカニカル方式は、1万円前後で買える高品質キーボードと言えます。

ひかぱん
良いキーボードが欲しいけど、「さすがにキーボードに2万円は厳しい」という人にピッタリなのがメカニカル方式。この価格帯は空白地帯だったので、ゲーミング界隈の盛り上がりとともに、メカニカル方式が再注目されています。

図解2 メカニカルスイッチ8種早見表 基本となる茶軸と赤軸はほぼ全機種でラインナップ

お次は、メカニカル方式ならではの、キースイッチ(いわゆる◯軸)について図解します。キースイッチの選択肢が多いMajestouchをベースに説明しますが、Archisiteも同じキースイッチ(ドイツCHERRY社製)を使用しています。

迷ったら茶軸か赤軸を選ぶのが基本

キースイッチだけで8種類もあって悩みますが、Majestouch全製品で採用されている茶軸と、茶軸からクリック感を省いた赤軸が主流となっています。

茶軸よりクリック感(とカチカチ音)が欲しいなら青軸、赤軸より重めのキー荷重が好みなら黒軸を試すような選び方が良いと思います。Majestouchでは1製品(2SS Edition)にしか搭載されていませんが、わりと銀軸を愛好する人も多いようです。

CHERRY社って何?

CHERRY社は、メカニカル方式のキースイッチを製造するドイツのメーカーです。メカニカル方式のキーボードには、Majestouchのようにキースイッチを社外から調達する製品と、ロジクール製品のように自社独自のキースイッチを開発するものがあります。

【比較】マジェスタッチとアーキサイト製品からベストバイを選ぶ

さて、メカニカル方式の特徴をおさらいしたところで、万人向けのベストバイを選んでいきます。

早見表 Majestouchの製品ラインナップ とっても分かりやすい「4分類」で説明します

まずは、100種類を超えるMajestouchの製品ラインナップを早見表にしました。以下の4分類を頭に入れておくと、全体像をつかみやすいと思います。

Majestouchの4分類

  • ノーマルタイプ(万人向け、おすすめ)
  • 上級者向け(キートップ無刻印、高速キー)
  • 60%キーボード(Fnキー無し)
  • 個性派デザイン(迷彩色、スカル柄)

なお、東プレRealforceやHHKBと異なり、Majestouchには機能全部入りの「上位製品」がありません。

ひかぱん
一般的には無線/有線両対応モデルを上位製品としたいところですが、USB接続でのNキーロールオーバーに対応しているのはStingrayなど一部の有線接続モデルだけなので、最も価格の高いものが高機能・多機能というわけではありません。

ノーマルタイプ(万人向け) ここから選べば間違いない定番製品

まずは、Majestouchシリーズの中で、クセのない定番製品からご紹介します。万人向けの製品なので、ここから選べば間違いありません。

製品名接続方法本体色キースイッチキー配列
Majestouch 2 Hakua有線接続
USB,PS/2
黒 青 赤 日本語(かな有)
英語
Majestouch 2
Majestouch 2S茶 黒 青 赤
Majestouch Convertible 2有線/無線
USB,BT
Majestouch Convertible 2 Hakua日本語(かな有)

上の表を見て、「わざわざ製品名を分ける必要ある?」と気づいたなら鋭い。本体色の違いだけで製品名を変えるところが、Majestouchの選びにくさの理由の一つと言えましょう。

2千円程度の価格差でコスパの高い無線モデルがお勧め

Majestouchのベストバイ選びは悩ましいのですが、有線モデルとの価格差が2千円程度とコスパが高いことから、無線モデルの「Majestouch Convertible 2」をお勧めします。ちなみに、静電容量無接点方式のRealforceやHHKBと違い、静音キー搭載機がほぼ同価格で買えるのもMajestouchの魅力です。

これがイチ押し!

 
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ここがポイント

標準モデルのMajestouch2にBluetooth接続を搭載したコスパモデル。キースイッチはクセのない茶軸か赤軸がオススメです。

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また、キースイッチもいろいろあって悩みますが、主流である茶軸か赤軸をベースに選ぶのが基本です。キースイッチの違いについては、図解をまじえて後述します。

ひかぱん
東プレRealforceやHHKBと比較して、無線接続モデルのコスパが高いのがMajestouchの魅力です。なお、無線接続が不要なら、後述するArchisiteのProgres Touch Retroも大変魅力です。

上級者向け(キートップ無刻印、高速キー)

以下の4製品は、上級者向けのモデルとなります。明確な理由無しに選ぶと、単に扱いづらいだけなのでご注意を。

製品名接続方法・本体色キースイッチキー配列刻字位置
Majestouch 2SS
Edition
有線接続
USB,PS/2
銀軸
(Speed Silver軸)
日本語(かな無)
英語
キートップ
Majestouch StingrayLP速軸
(LP Speed軸)
日本語(かな無)キートップ
フロント(*1のみ)
(LP赤軸)
LP Red軸
日本語(かな無)*1
日本語(かな有)
英語*1
Majestouch Black 日本語(かな無)フロント
Majestouch Ninja 英語

無刻印より扱いやすいフロント刻字モデル

「HHKBの無刻印に憧れるけどハードルが高い」という人にも扱いやすいのがフロント刻字。キーキャップの前面に刻字されているので、真上からは無刻印に見えるという技ありのデザインです。

パッと見では無刻印!

Majestouch 2SSとStingrayは高速打鍵が可能

Majestouch 2SS EditionとStingrayでは、キーストロークの浅いLP(Low Profile)軸が採用されています。特に、LP Speed軸では、茶軸などの一般的なメカニカルキーよりキー判定が1mmほど短いため、さらに高速入力が可能な仕組みです。ただし、高速キースイッチは誤入力の原因にもなるので要注意。

LP Speed軸(高速)茶軸(標準)

Stingrayは外観美と実用性を両立した薄型設計

Majestouch Stingrayは薄型のキースイッチ(LP軸)を使用しているため、他のMajestouch製品よりも全高が薄く作られています。

ボディ部分で5mm薄い低重心でシャープな外観

また、FILCOさんに教えていただいた話では、LP軸と階段状のステップスカルプチャー構造を両立している製品は数少ないそうで、外観へのこだわりを感じます。

ひかぱん
薄型設計でシャープな外観だけでなく、パームレスト無しでも疲れづらい実用性も兼ね備えています。

60%キーボード(Fキー無し) HHKBのほぼ半値というコスパの良さ

以下の3製品は、Fキーの無いキーボードです。HHKBでお馴染みですが、最近では「60%キーボード」と呼ばれ人気です。

製品名接続方法本体色キースイッチキー配列
Majestouch MINILAUSB,PS/2 日本語(かな無)
英語
Majestouch MINILA AirBT
Majestouch MINILA-R ConvertibleUSB,BT黒,グレー,
あさぎ色

*黒軸は英語配列のみ

無線接続のみ対応で扱いづらかった「MINILA Air」ですが、有線接続モデルの「MINILA」と統合され、有線・無線両対応の「MINILA-R Convertible」が発売されました。MINILA-Rはキーキャップが2色成形で高級感もあります。

HHKBのほぼ半値!

 
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ここがポイント

Fキーの無い60%キーボード。標準で全角/半角キーが付いているので、HHKBより扱いやすいのが魅力。

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個性派デザイン(柄物、金属素材)

以下の3製品は、ある意味でMajestouchらしい、柄物や金属素材のキーボードです。ちなみに、FILCO公式の「キーボード工房」では、本体色を純金箔貼りなどにカスタマイズが可能です。

製品名接続方法本体色キースイッチキー配列
Majestouch LumiSUSB,PS/2蛍光スカル柄
*黒軸は英語配列のみ
日本語(かな無)
英語
Majestouch 2
Camouflage-R
迷彩柄
Majestouch 2S Metal SUS金属製
*青軸は英語配列のみ

Majestouch 2S Metal SUSは2005年販売モデルの復刻版で、実勢価格3万9,600円という高級品です。こちらはベースモデルが2種類あり、茶軸・青軸・赤軸はLumiSがベース、銀軸はMajestouch 2SSがベースとなっています。ベースモデルの違いにより、キー色とLED色が異なります。

また、FILCOさんに教えていただいた話によると、Majestouch LumiSのファームウェアは前出のStingrayと同じもので、「USB接続時でも全キー同時押しが可能」などの共通点があります。一方、Camouflage-Rはベストバイに推したConvertible2に近いファームウェアを使っているそうです。

比較表 無線接続が不要ならArchisiteがおすすめ 細かい部分でMajestouch以上に「コナレ感」がある

ここまでFILCO社のMajestouchを中心に記述してきましたが、同じく老舗のArchisite(アーキサイト)も良い製品を出しています。

ひかぱん
無線接続モデルが無いのは残念ですが、細かい部分でMajestouch以上に洗練されたところがあります。

Archisiteの製品ラインナップを下表にまとめました。

 Progres Touch RetroMaestroQuattro
キースイッチ 黒 
*黒軸,銀軸はTKL,TINYのみ
   茶 静   
フルキーボードProgres Touch RetroMaestro FLなし
10キーレスProgres Touch Retro TKLMaestro 2SQuattro TKL
コンパクトProgres Touch Retro TINYなしなし
主な特徴ベースモデル。ファームウェア更新可、DIPスイッチ、USB接続でもNキーロールオーバー。ケーブル着脱可。Progres Touch Retroの上位バージョン。ロープロファイル(背の低い)キーキャップ、LEDサインの充実など。Maestroをベースに、Thinkpadと同じく静電容量式で耐久性の高いポインティングデバイス付き。
価格帯10,000円14,000円17,000円
Majestouchの競合機Majestouch 2Majestouch Stingrayなし

Archisiteはベースモデルの機能が優秀

ご覧のとおり、価格的には完全にMajestouchと競合しているわけですが、Majestouchには一部機種でしか対応していない機能がベースモデルのProgres Touch Retroに標準搭載されています。しかも、この価格帯の有線接続モデルでは非常に珍しく、ケーブルが着脱可能となっており、ケーブルの劣化を心配せずに使えます。

メンテナンスのしやすさもGood

また、細かいところですが、スペースキー内部の構造もMajestouchとは大きく異なっており、メンテナンスしやすいのも特徴です。具体的には、Majestouchのスペースキー内部には、打鍵時にキーを安定させるための「スタビライザー」という金具が入っていますが、キーキャップを外すときにスタビライザー周りを破損するとメーカー修理になります。

ArchisiteMajestouch

Archisite製品のベストバイについては、上記のとおりベースモデルのProgres Touch Retroのコスパが際立って優秀です。また、こちらの製品のみ、キーキャップが往年の2色成形(金太郎飴の構造)になっており、キートップの文字が消えないのも特徴です。

ベストバイ!

【詳しく】マジェスタッチとアーキサイトの機能や特徴を解説

その他、これまでの説明で触れてきた専門用語について補足します。

Nキーロールオーバー 厳密には「同時押し」とは意味が違います

「Nキーロールオーバー」とは、(他のキーを押したままでも)最後に押したキーが認識される仕組みです。早打ちが必要なタイピストやゲーマーには必須の機能で、同価格帯のキーボードにはまず搭載されています。

ちなみに、USB接続の場合、PCには「直近6キーより前のキーは順に離されている」と認識されるため、同時押しという意味では6キーが上限です。これは、USB機器のデータ転送量(1度に8byteまで)による制限で、このため厳密には「Nキーロールオーバー」と「同時押し」は意味が異なります。一方、PS/2接続の場合は6キー制限が無いため、有線接続モデルに付属のPS/2変換アダプタを使うことにより、全キー同時押しが可能です。なお、Majestouch 2SS Edition、Stingray、LumiSの3機種では、USB接続でも全キー同時押が可能です。

7キー以上の「同時押し」が必要なら

Microsoftのゲーミングキーボード「SideWinder」では、PCに2つのキーボードデバイスとして認識させることで、「26キー同時押し」が可能です。また、PS/2接続には8バイト制限が無いため、理論上は全キー同時押しが可能です。

キースイッチの交換 キースイッチのみ購入できるので修理も可能

FILCOの公式オンラインショップでは、50個単位でキースイッチを販売しています。

メカニカル方式の特徴として、キースイッチは個別に交換が可能です。半田付けなど決してお手軽な作業ではありませんが、キースイッチの故障時に自分で修理することも可能です。

Majestouchについては以上となります。

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