2024’辛口批評【車内泊にも】ポータブル電源の選び方とおすすめは?

今回は、アウトドアや災害時への備えにも役立つ「ポータブル電源」の選び方とオススメを検証します。

ガーデンパーティー、キャンプ、車中泊、防災用品として幅広く使用可能なほか、業務用途では展示会や学校行事など屋外イベントでの電源取りにも重宝するはずです。

なお、防災用品・アウトドアについては他にも書いていますので、あわせてお読みいただければ幸いです。

【最新】ポータブル電源の特徴と選び方

個別製品を比較する前に、まずは製品選びのポイントから説明します。

ポータブル電源の特徴と選び方

ポータブル電源選びのポイントは、以下の5点を押さえれば十分です。まずはバッテリー容量で迷うと思いますが、消費電力の大きい電化製品を使用予定なら「定格出力」にも注意してください。


  • バッテリー容量(公称値)

    重要 バッテリー容量は、ポータブル電源を選ぶ上で一番のポイントです。バッテリー容量の単位は「Wh(ワットアワー)」であらわし、消費電力100Wの電化製品を6時間使うには600Whが必要という計算になります。

    消費電力の目安

    マホ・ラジカセ・加湿器 10W
    ノートPC・扇風機・空気清浄機 25W
    小型冷蔵庫・電気毛布 60W
    ミキサー・プロジェクター 250W
    炊飯器(3合)    500W
    コーヒーメーカー    650W
    トースター・ドライヤー・炊飯器(5合)   1000W
    電気ポット・IH調理器・ホットプレート・電子レンジ     1300W

    価格や大きさはバッテリー容量に比例するため、使用する電化製品や場面に応じて適切な容量を選びましょう。

    バッテリー容量使用目的や場面
    100Wh前後屋外でのワンポイント使用、スマホ電源なら1週間分
    300-700Wh防災用品、1泊キャンプ、スマホ電源なら家族で数日から1週間分
    1000Wh以上防災用品、ホットプレートを使ったバーベキュー

    なお、カタログ上のバッテリー容量はあくまで公称値であり、実際に使用可能な容量はこの次で説明する「変換効率」を掛けた数字となります。

    ひかぱん
    災害時に長期で使うには大容量タイプが必要ですが、高性能なソーラーパネルで継ぎ足し充電しながら使うのも一手です。

  • 変換効率(80%以上が目安)

    カタログ上のバッテリー容量は公称値であり、実際には8割使えれば上々です。例えば、626Whのポータブル電源であれば、実際に使えるのは約500Whとなります。

    これは、ポータブル電源内のリチウムイオン電池の電圧(3.6-3.7V)を使用機器の電圧に変換する際の電力ロスによるもので、変圧時の電力ロスの少ない(変換効率の高い)ものほど優れた製品となります。

    画像出典:SmartTap PowerArQ、象印NL-DS10

    変換効率に関する統一基準は無いので、定評のあるメーカー品から選ぶのが基本です。人気のSmart TapとJackeryの変換効率は85%となっています(メーカー公称値)。Jackeryと提携しているJVCケンウッドも同等の水準と考えてよいでしょう。


  • 定格出力

    重要 ポータブル電源では、各製品に設定された「定格出力」以上の電化製品は使えません。一般的なポータブル電源の定格出力は200~500Wとマチマチなので、購入前に必ずチェックしてください。

    画像出典:SmartTap PowerArQ、象印NL-DS10

    前述の消費電力表のとおり、300W以内で使える電化製品がそれなりに多いものの、加熱系の調理家電はほぼ1000Wを超えています。一方で、消費電力が300~500Wの範囲内の電化製品は意外と少ないので、このあたりが製品選びのポイントになります。

    なお、加熱系調理家電を含め自宅と同等の家電環境を整えるなら、ほぼ「BLUETTI」以外に選択肢はありません。アウトドア界隈では定評のある国内ブランドです。定格出力が2000Wの製品までラインナップしているため、消費電力が1000Wを超える電化製品でも余裕で使えます。


  • 充電方法・出力ポート

    ポータブル電源の充電方法と出力ポートは次のとおりです。ソーラーパネル充電と、スマホなどへのワイヤレス充電機能は、非搭載の製品もあるので注意してください。

    ポータブル電源の入出力方法

    充電方法

    • 家庭用コンセント
    • シガーソケット
    • ソーラーパネル Check!

    出力ポート

    • コンセント(ACポート)
    • DCポート
    • USBポート
    • シガーソケット
    • ワイヤレス充電 Check!

    なお、実用的なソーラーパネル充電のためには、バスタオル大のソーラーパネルが必要です。天候条件が良ければ1日で400Whくらい充電できるので、防災目的ならソーラーパネルもセットで用意したいところです。

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  • 出力電圧・電源周波数・出力波形

    最後に、ACポートの電源電圧が日本仕様となっているか、念のためスペック表で確認してください。

    出力電圧100V
    電源周波数50Hz/60Hz
    出力波形正弦波

    出力波形に関する詳しい説明は省きますが、よほど安価な製品でなければ正弦波となっているはずです。また、電源周波数は50Hzのみ対応の製品が多いので、60Hz専用の電化製品を使う予定のある場合は注意してください。


以上がポータブル電源の基本的な選び方ですが、製品によってはLEDライトを搭載していたり、屋外使用に嬉しい防滴仕様のものもあります。これらの追加機能については、以下の個別製品紹介で説明します。

ポータブル電源のおすすめ4選

ここからは、ポータブル電源の推奨製品を絞り込みます。ポータブル電源は使用目的により必要スペックが大きく異るため、以下の3区分に分類した上で、それぞれのオススメ製品をご紹介します。

電気ケトルを3つに分類

  • モバイルバッテリー兼用タイプ
  • 防災・アウトドア向けの大容量モデル
  • 加熱系調理家電も使用可能な本格モデル
モバイルバッテリー兼用タイプ

イチ押し Anker PowerHouse 100 手のひらサイズで小型冷蔵庫や扇風機にも対応

モバイルバッテリー兼用の超小型タイプなら、Anker PowerHouse 100がイチ押しです。手のひらサイズでありながら、定格出力100Wで小型冷蔵庫や扇風機にも対応します。

バッテリー容量は97.2Whと控えめですが、足りなければ2台持ちという手もあるほか、ソーラーパネルを使えば日中の使用時間を伸ばせます(純正ではAnker Power Port Solar 60が対応)。

これで必要十分?

ひかぱん
消費電力が100W以内の電化製品は意外に多いので、「屋外で炊飯器を使いたい!」という人以外は検討してみる価値はあります。

これで液晶プロジェクター(300W前後)を使えればビジネス用途でも最強なのに、と思うのは欲張りでしょうか。携帯性が素晴らしい一方で、用途としては一定の割り切りは必要となります。

この製品の良いところ

  • ポータブル電源としては超小型
  • モバイルバッテリーとしては大容量
  • 小型冷蔵庫や扇風機にも対応の100W出力
  • USB-Cポート(60W)を搭載
  • ソーラーパネルによる充電にも対応
  • 照明や救命信号に使えるLEDライト付き

ここは改善を希望です

  • このサイズにして十分ですが、ポータブル電源としては割り切りが必要
防災・アウトドア向け大容量

イチ押し Jackery ポータブル電源 700 500W高出力で小型炊飯器まで使用可能

防災用品やアウトドア向けに大容量のポータブル電源が必要なら、定番のJackeryシリーズがイチ押しです。電力変換効率は85%と最高水準で、全方位的に隙きの無い数少ない製品です。

Smart TapのPower ArQも人気ですが、定格出力の高いJackery製品のほうが幅広い電化製品に対応可能です。スマホやノートPCへの給電がメインなら、出力ポートが多彩な新型のPower ArQ2が便利です。

PowerArQとの主な違い
 Power ArQ2Power ArQJackery 700
定格出力300W300W500W
出力ポート数USB ✕ 4
USB-C ✕ 1
AC ✕ 2
DC ✕ 2
シガーソケット
ワイヤレス充電
USB ✕ 3
AC ✕ 1
DC ✕ 2
シガーソケット
USB ✕ 3
AC ✕ 2
DC ✕ 2
シガーソケット
LEDライト500ルーメン120ルーメンなし

なお、JVCケンウッドも、米Jackeryとの業務提携により同等製品を販売しています。主な違いは本体色とバッテリー容量のラインナップなので、色の好みや実売価格の安いほうを選べばよいでしょう。

この製品の良いところ

  • 500Wの高出力で小型炊飯器にも対応
  • 電力変換効率は85%で最強クラス
  • 最大1000Whまで製品ラインナップが豊富
  • ソーラーパネルによる充電に対応
  • -10℃までの寒冷環境でも使用可能
  • 2年間の長期保証

ここは改善を希望です

  • LEDライトは非搭載
  • AC電源ポートの出力周波数は60Hzのみ
大容量・高出力の本格モデル

イチ押し BLUETTI ポータブル電源 AC200P 自宅と同様の電化製品が使える本格モデル

BLUETTI AC200Pは、まさに究極のポータブル電源です。定格出力は2000Wと余裕たっぷりで、ホットプレートやドライヤーなど電力消費の激しい電化製品にも対応します。

ガーデンパーティー、キャンプ、車中泊、防災用品として幅広く使用可能なほか、業務用途では展示会や学校行事など屋外イベントでの電源取りにも重宝するはずです。

また、出力ポートも豊富で、6口のAC電源ポートに加え、USB-PD(60W)やワイヤレス充電機能も搭載しています。スマホやノートPCの補助電源としては贅沢すぎる仕様となっています。

さらに、高級機にふさわしく、操作周りはタッチパネル搭載で、2500回充放電可能なロングライフも魅力です。また、AC電源出力は日本の電源周波数である50Hz/60Hzに両対応で、ここもJackeryやPower ArQには無い長所となっています。

この製品の良いところ

  • 2000Wの高出力で自宅と同じ電化製品を使える
  • 個人向け製品では最大級の2000Whバッテリー搭載
  • AC電源ポートを6口、USB-PD(60W)を搭載
  • ワイヤレス充電に対応
  • ソーラーパネルによる充電に対応
  • 液晶タッチパネル搭載
  • 2500回充放電可能なロングライフ
  • 電源周波数50Hz/60Hzに両対応

ここは改善を希望です

  • 一般家庭用としては非常に高額
  • 入出力の電圧が110Vなのは少し気になる
  • 寒冷環境での使用は0℃以上
  • LEDライトは非搭載

ポータブル電源の選び方とおすすめは、以上となります。大容量モデルであってもバッテリーは有限なので、キャンプ等ではカーチャージやソーラーパネルを併用しましょう。また、ノートPCや音響関係の電源取りなら、モバイルバッテリー型の複数台持ちも有効です。

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